社会問題になっている長時間残業。
会社や労働組合、法律等では、長時間残業とならないように、一定の時間を超えないよう基準を設けています。
しかし、これらは形だけで、規制する・抑制すると言う機能を全く果たしていません。
現実はどういったことなのか、私の経験も踏まえて詳しく現場のリアルな実態を紹介します。
会社が決めた残業の上限は簡単に超えられる
会社によっては、一定以上の残業は認められず、上司の承認だけでなく労組の承認も必要となることがあります。
実際私が昔居た超大手企業でも、それはありました。
一定時間以上超えると上司の承認が必要なのですが、アッサリ承認されます。
稟議書や見積書、企画書は、「頭に入ってこない」とか「読みにくい」とかいう訳の分からない理由で差し戻すにもかかわらず、残業申請についてはメクラ印です。
超大手でさえそんな状態ですから、残業規制なんて設けてもハッキリいって無いに等しいです。
それによって、どんなに業務負荷があって残業が多くなろうとも、「減らそう」とか「代わりに誰かがやる」ということにはなりません。
あなたが残業してでもやらないといけないのです。そしてそれを会社は、抑制するのではなく「そうですか、ハイ、わかりました」となります。
幾ら上限を設定していても、それを超えないようにするものでは無いのです。
労働組合が決めた残業の上限も簡単に超えられる
長時間残業は、上司が承認する場合と、労働組合がある処は労働組合が承認する場合があります。
多くは、労働組合の承認が必要な場合は、月60時間以上など、かなり長時間になる場合です。
これは、残業の理由だけでなく、今後の負荷の軽減や残業担当者の休息(有休の取得など)を報告し、労働組合が承認する必要があります。
労働組合は、年末年始によく聞くベアや春闘等をよく聞くと思いますが、どういったことに取組み、従業員を代表して会社と給与交渉をしたり、労働条件や福利厚生を改善していくところです。
そうすると、本来労働組合は、長時間残業は避けさせるべきであるにもかかわらず、どの申請に対しても全て承認しています。
これは、昔の会社で、長時間残業の審議結果がメールで送られてくるので、わかります。
申請が却下されたことはありません。
本当に審議しているのか?と思うくらい全て承認されています。
本来、残業を抑制する立場にあるにもかかわらず、です。
確かに、一時的に長時間残業になりますが、その裏には、上司から「もう来月は超えるな」とかいう言葉がかけられ、サービス残業をしているケースがあります。
上司としても、何度も労働組合に対して長時間残業申請を行うのは、管理監督者としての資質を問われたりして、自身の評価が下がる、更には、上司の上司にまで指導が及んだりすることがあります。
そのため、半ばパワハラ的に残業を抑制させようとします。
部下としては上司から強く言われると、何とかごまかそうとします。そのため、サービス残業とか、規制のスキマを狙う危ない残業の仕方をしてしまいます。仕事量は減らしてもらえません。
ですから、労働組合があって、そこで残業時間の規制が設定されていても、簡単に承認されてしまいますし、残業の抑制等については、抜本的な対策は行われません。
何か対策してくれるだろうと期待しても、何もしてもらえません。
そんなものです。
長時間残業の基準ギリギリ下なら見逃されてしまう
例えば、長時間残業の申請が40時間以上だったとします。
40.5時間なら、申請が必要です。
39.5時間なら、申請が不要です。
つまり、たった1時間違うだけで申請の要否が決まります。
逆に言えば、長時間残業として、健康管理や業務負荷の対象などとして見てもらえるか見てもらえないかの違いも1時間の差なのです。
たった1時間の残業で健康状態が変わるかどうかは疑問ですが、同じくらい残業しているのに、基準となる残業時間に少し届かないだけで、監視の目を逃れることが出来ます。
そして、そうなると、あなたの残業は規定内となり、長時間残業の対象にはならないため、見逃されてしまいます。
このような、ギリギリのやり方というのは横行しているのが事実です。
時には上司もあなたを守らない
上司は本来あなたを守る存在でもあるはずですが、残業に関しては、守るつもりが無い上司も居ます。
先日私が実際に耳にした内容です。
私が長時間残業の対象となりそうな月がずっと続いており、負荷が高い状態です。
勤怠を見ると、毎月ギリギリ申請基準を下回る状態です。(ちなみに私は残業時間の過少申告の怖さをしっているのできちんと働いた時間分つけているので狙ってギリギリになっている訳ではありません)
新年度になって昇進した新しいマネージャーに対して、
「〇〇(私の事)は残業申請ギリギリ状態が続ているから要フォロー。超えそうなら申請が要るからね」
「了解です」
と会話を交わしていました。
この会話を聞いてどう思われますか?
何気ないように思えますが、違和感を持つ方はいませんか?
そうです。どちらも「残業が多いから負荷を減らそう」とか「体調やモチベーションをよく管理するように」等という事が全く考えられてないのです。
私はこの会話を聞いて、「ああ、結局は誰も守ってくれないんだな」と思いました。
本来なら、負荷が高い状態が続いていて、申請が必要な残業時間の状態がわかっているのであれば、何らかの対策を、管理者として上司が行う必要があります
ですが、それは全く頭にない様子で、本人が長時間残業になりますと言っているので申請します、という風にしか考えていません。
上司は管理者です。
あなたの仕事ぶり、成果、そして部署の成果を管理し、達成に導くのが仕事であると同時に、部下の健康管理をし、モチベーションを維持する事です。
それがなされていません。
実はこういう上司の方が圧倒的に多いのです。
ですから、長時間残業しているからといって、上司が助けてくれたり守ってくれたりするわけではありません。
あなた自身が、負荷が高すぎて困るということを自己申告しないといけません。
残業が多くて負荷が高いと申告してもダメな場合
残業が多く、仕事の負荷が高い、あるいは心身に異常を来し始めていると言う状態であれば、上司に申告して負荷を減らしてもらいましょう。
高負荷状態が続くと、仕事上もミスを起こす可能性がありますから、メリットはあまりありません。
ですが、負荷が高いから下げてくれという申告は、時にあなたの評価が下がることに繋がることがあります。
他の同年代あるいは同ランクの人は同じくらいの負荷をこなしている、単に辛いだけという甘えに捉えられる、上司の方が負荷が高いのに何を言ってるんだと言う印象を与えてしまうなどです。
極端に言えば、みんな負荷が高いのにオマエだけ楽しようとするな、みたいな受け取られ方になることがあります。
もしそんな風になって評価が下がってしまったり、負荷を下げてと訴えても下げてくれない場合は、上司の更に上司、人事など違う人に相談してみましょう。
何等かの対策をしてくれるはずですが、それでもなかなか改善されない場合は、仕事を変えることも考えた方がいいです。
ひとりの社員が悲鳴を上げているのに、それに対して対応しないのは、会社を支える人材を軽視しているといっても過言ではありません。
こういったネガティブともとらえられる理由で会社を辞めても、次の仕事を一緒に探してくれる転職エージェントに相談するのがベストです。
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さいごに
長時間残業は社会問題であり、減らそうという動きが出てきています。
しかし、イチ担当者が必死に効率化をしたりしていることによる成果です。
会社も労組も上限を決めていますが、申請さえすれば、簡単に承認されて長時間残業オッケーになります。
しかもそういった申請だけ何故かメクラ印で、審査もクソもなく、「あっそう了解」みたいな感じです。
そして、その長時間残業に対する申請と管理は、ある基準を超えるか超えないかになっているので、基準に対して30分でも少なければ管理対象外です。
つまり、基準さえ下回れば同等の長時間残業であっても見過ごされるのです。
潜在的な長時間残業です。
そして、管理者である上司も、こういった長時間残業については対策を講じることはなく、申請が必要になりそうなら事前に察知して申請する、という単なる手続きとした考えてません。
管理者の仕事のひとつである部下の健康管理とモチベーション維持は、おざなりです。
ですから、いくら勤怠上で申告しても察してもらえないので、あなた自身で、負荷を下げるよう申告が必要です。
声を上げないと、会社も上司も何もしてくれません。
そしてもし声を上げても何も改善されないなら、その会社は人材という宝を軽視しているので、辞めてしまう事も考えた方がいいです。
会社の体質ですから、人材軽視は変えられません。効率化して残業減らしたらその分仕事が降ってくるでしょう。
会社のために命削る必要はありません。
ネガティブな理由でも関係ありません。あなた自身を守るために辞めると言う選択肢を加えましょう。
そして、ネガティブな理由でも問題なく転職を支援してくれる転職エージェントを通じ、次の仕事を探してみましょう。
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