法律上、男女問わず誰でも取得できる育休ですが、会社という組織上、取得には上長の承認が必要なところが大半です。
しかし、特に男性が育休を取得しようとして申請すると、上長から「何故?」「本当に必要?」等と聞かれることもあります。
私が育休取得の際、あれやこれやと聞かれました。実際に聞かれた事とそれに対する答え、そもそも何でそんな事聞いてくるんだ?ということをまとめてみました。
今この記事を読んでいるあなたが男性であれば、育休を取ろうとしたときには、まず間違いなく聞かれることですので、参考になればうれしいです
どうしても育休必要なのか?奥さん(妻)だけでなんとかなるんじゃないのか?

あなたの上司で、このような発言をした人は、育休取得の経験がおそらくなく、育児にも殆ど関わっていないと言えます。
上司世代はその割合が多いですが、30代の若い人でも、そもそも男が育休を取る、という考え方がありません。
また、育休を取らずに、子供が産まれてからも残業や飲み会などで、奥さんだけが育休を取って子育てしている、という環境に居る人が大半です。
しかし、結果として、それなりに子供は育っているため、男性の育休は必要が無いと思っているのです。
これは、正直、どうしようもありません。
育児だけではなく仕事もそうですが、大変さや苦労というのは、実際に体験してみないとわかりません。
いくら苦労話を聞いても、身を持って体感しないことには、その苦労は伝わりません。
ですから、こういう上司や人に対しては、奥さんがどのくらい大変なのか、男性も育休を取るのが必要なのか、ということを説明しても、なかなか理解が進みません。
ですので、「要るものは要る!当然の権利だから取る!」というスタンスで望みましょう。
また、「育休取得は会社も上司も誰も却下できない。却下した場合は法律違反となり処罰対象となる。場合によっては労基署から指導が入るかも」と、少々脅しともとれる内容ですが、これを伝えてあげましょう。
言い方に気を付けないと後々関係性が悪くなりますので注意が必要ですが、この説明はかなり効きます。おそらく有無を言わさず育休取得できるようになります。
両親に子供の世話を頼めないのか?

これも、実際に殆ど育児に関わっていないことを証明するような質問内容です。
親なら喜んでみてくれるだろう、助けてくれるだろう、という先入観や自分の親(奥さんの親)が助けてくれたという経験もあるのでしょうが、おそらくその経験は、一時的に両親が助けてくれたのであって、毎日フルタイムで見てくれていたわけではないです。
週5日、短くても9時~17時の8時間、子供の世話を出来る両親なんて居ると思いますか?
両親ともに退職していて時間があまっていても、今度は体力が持ちません。
たまに、とか、どうしても休めない日、には両親にお願いすることはあります。そのイメージだけが焼き付いているので、「両親に頼めないのか?」と聞いているのです。
これは無理です。現実的ではありません。
両親に頼める場合は、少なくとも以下全ての条件が当てはまらない限り不可能です。
条件 | 理由 |
両親同士の仲が良い | 交代で看てもらうなど、両親同士の協力も必要になります。仲が良くないとうまく出来ません。 |
平日に都合がつく | 看てもらうのは平日が基本ですから、平日に都合がつかないと協力は難しいです。 |
協力的で気を遣う必要が無い | 夫婦から見れば各々義理の両親に子供を看てもらうため、非常に気を遣うはずです。それが問題ないと明確に言えれば大丈夫です。 |
近い距離に住んでいる | 朝は遅くても9時くらい、夜は早くて18時くらいになる上、毎日通ってもらう必要があるかもしれないためです。 |
2週間くらい先まで予定が立てられる | どうしても両親が都合つかず、夫婦ともに仕事を休めない場合はベビーシッター等を活用する事になりますが、2週間くらい前でないと人気や実績のある方は埋まってしまいます。 |
全て満たすの両親はほぼ皆無と思いますので、両親に協力を依頼することは、極めて難しいと言えます。
ベビーシッター、一時保育は無理なのか?

保育園、両親がダメなら、ベビーシッターや一時保育という手段もあるはずだが、検討したのか?という経緯で聞いてくる質問です。
シッターの制度や利用方法、一時保育のことについて、知らないためにこのような質問をして来ています。
しかし、実際には、シッターは基本的には週5日のほぼフルタイムで対応してくれる人は居ません。基本的にはスポット的に1日とか半日お願いするものです。一時保育も同様です。
加えて、仮に週5日全てシッターにお願いするとしたら、何日か前に予約が必用ですし、空いている人を次々依頼しないと毎日世話をしてもらえないので、毎日違う人が来る可能性があります。
まだ何もわからない小さな子供にとって、毎日違う人で、しかもそれが両親でも親戚でもなくアカの他人が来るのは、慣れないし怖がる子もいるので、子供にとってはかなりのストレスですし、親としても、毎日号泣している子供を見るのは良心が痛みます。
また、親の立場としても、毎日違う人が家に入ってくるというのは防犯の面からも怖くないですか?
私は怖いです。いくら秘密厳守だったり安心安全をアピールしていても怖いですね。
さらに、シッターや一時保育は、先に書いた通り、基本的にスポット利用するサービスなので、単価は高いです。
一度試算したら、安く見積もっても月に20万円弱、かかります。
時間単価1,500円×7時間×20日=210,000円。時間単価1,500円は安い方です。だいたい2,000円超えが多いです。
多くの男性は、シッターや一時保育の単価や毎日使うものではないこと、そして何より子供の負担を考えてません。
それなら育休取って育児休業給付金受け取って、子供の成長を目の前で見れて奥さんもサポートできる育休方が何百倍もトクです。
育休中はリモートワークで働けない?

これに関しても、育休取得の経験が無く、育児にも殆ど関わっていないと思われることにより発生する質問です。
その背景には、子供は、
- 一人で遊ばせておけば大丈夫
- ほったらかしでもちゃんと育つ
- ほとんど寝ているはず
- 家事の手間を考考慮していない(やってないから考慮できない)
育休を取ったことがない、あるいはまともに育児してない人の頭にはこのような考えがあります。
あと根本的な事ですが、育児休業だって言ってるのに働ける?って、なんちゅう矛盾した質問でしょうか。
でもこれ、私が本当に聞かれたことですよ。
仮に自宅で仕事が出来たとしても、子供を見て、家事もしていると、開始→中断→開始→中断の繰り返しで、全くはかどらずタイムリーにレスポンスもできません。
打合せや会議など絶対無理です。
特に僕の場合は、妻がフルタイム勤務のためワンオペ育児+家事だったので、到底仕事の時間等取れませんでした。
私が育休取ってわかった育児と子育てについてです。上司等に話す際に参考にして下さい。
6ヶ月くらいまで | 主に妻のサポートと子供の世話
3時間毎の授乳、泣いた時等の抱っこ、そもそもちゃんと息しているか、飲んだミルク吐いてないか(吐いて喉に詰まって死ぬことも)、おむつ交換、服や布団での寒暖調整、等 |
6ヶ月~1歳くらいまで | 子供が動きだすのでそれを見張る
危険なものに手を伸ばさないか、寝返ってうつ伏せになると呼吸困難になる、飲んだミルク吐いてないか(寝返ると吐く率が上がる)等 |
1歳~1歳半くらいまで | 子供が歩きだすのでそれを見張る
危険なものに手を伸ばさないか、高いところに上ったりしていないか、こけて怪我しないようにする、等 |
これに加えて家事もあります。私の経験上、家事+育児をしていると、仮に仕事が出来るとして何時間取れるかというと、昼の1時間取れるか取れないか程度です。
しかも取れない日もあったり、こまぎれで1時間ということもあります。
リモートワークとかそういう問題ではなく、そもそも時間が取れないし、休業だと言っているのに働けないかという質問自体がオカシイということです。
そもそも理由を説明する必要があるのか

育休は法律で認められているため、杓子定規に考えれば、承認者及び会社は拒否できず、育休は誰でも取れます。仮に拒否したら、会社側は法律違反となります。
しかし、それでも、仕事と同じように根回しや報告相談、理由の説明が求められます。前述しましたが、上長の世代が、
「育児は妻がするもので、男は育休を取っても何も出来ないから役に立たない、それなのに何故取る必要があるのか」
という固定概念があるからです。
男の育休取得は、上長にとっては信じられないことであり彼らの常識からは考えられないことなのです。ですから、自分なりの取得理由を説明してあげることで、理解が深まるはずです。
さいごに
僕が育休取得の際、上長や会社の同僚から聞かれたこととそれに対する回答は以下の通りです。
聞かれたこと | 私の回答 | 私からのアドバイス |
どうしても取得が必要なのか? | 妻が仕事復帰するので、どうしても取得が必要。 | 取得する意思が強いこと、妻の状態が悪いから等を伝える。 |
妻だけで対応できるのでは? | ||
両親に頼めないのか? | 両親は遠方、共働きなので不可 | 両親との調整や気遣い等を踏まえると現実的ではない |
ベビーシッターや一時保育等は無理なのか? | 週5日は不可+費用が莫大で不可 | あくまでピンポイントでの活用。保育園の代わりにはなりえない。 |
育休中、リモートや時短等で働けないか? | ワンオペ育児のため不可 | 取れても1時間程度で、かつ、こま切れの可能性もあり、現実的ではない |
本来はこういった質問をされること自体がおかしなことであり、場合によってはハラスメントになります。
しかし、育休を取っていなかったり、まともに育児に関わっていない人からすると、純粋に理由を聞きたくなるのです。
大変さ、必要性がわからないからです。
育休は本来、誰の承認も要りませんし、このような質問をされても答える義務なく、答えないからと言って育休取得できない、ということには、なりません。
ですが、やはり会社という組織で働く以上、そして、必要性がわからないことによる質問であるため、ここはあえてあなたが折れ、きちんと回答しておきましょう。